バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

萬里は祈祷師【第一の人生】14の章

*登場人物*

・アンナ←萬里の源氏名・ママやってる

・マスター←L.Sという飲食店のオーナー・萬里の雇い主

・ツル先生(仮名)←L.Sを面倒見ているお坊さん霊能者

・キョウ←L.Sで働いてる女の子(秋川リサ似・下品でとにかくよく喋る)

 

アンナという名の萬里は

今、高熱を出して寝込んでいる。

 

マス「病院でも治らんし、

原因も分からんで、これ以上休まれた困る!
お前やっぱ連れてくわ!

キョウに迎えに行かせるけん準備しとけ!」

 

アンナ「どこによ?」

 

マス「ツル先生のとこたい!

他に考えられんやろ!」

ついに!?

 

まともに体も動かず

抵抗する気力もなく、

言われるがまま
連れて行かれたのは

隣の市のとある場所。

 

外見は掘っ建て小屋みたいに

古くてボロい一軒家。

 

キョウに支えられて

足を引き摺るようにゆっくり歩く。

目前なのだけど

アンナの中の萬里は

やはりまだ「行きたくない!」

と思っている。

 

キョウ「マスターはもう到着して

中で待ってるから。そこまで頑張って歩こう。」

 

アンナ「ホント、ここまで来てもやっぱり

行きたくない・・・。」

 

キョウ「ママ、もう逃げられんよ(笑)

ツル先生、すごい人やけん大丈夫って。」

 

キョウは、以前マスターに連れられて

来ていたらしく

何だかすでに信者っぽい。

中に入ると

そこには立派な祭壇が有り

隣の部屋の長机の向こう側には
噂のツル先生がいた!

作務衣を着て

一見普通のお坊さんの出で立ちだが、

眼光が鋭く
その時の私には怖く見えた

目が合った瞬間

ツル「あんたがそんなふうやけん

付け入られるとたい!!!」と怒鳴られた。

訳がわからないまま思わず

「すいません」と謝ってしまった。

 

初対面、しかも顔合わせてすぐ

なんで怒られたん?

目が点だが、いつもの調子で

喋る元気などない。

 

黙ってツル先生の正面に座らせられた、

本当は座った姿勢を保つのもツライ

横になりたい・・・。

 

ツル先生は半紙に、

梵字いくつも書き連ねて円を描いた、

その中心に
「我に寄りし一切の霊」という言葉と
自分の生年月日、名前を書くよう指示された。

 

差し出された筆を取った瞬間、

尋常じゃない手の震えが起こる

いや、震えってより発作なレベル。

 

アンナ「手が震えて、文字が書けません・・・。

キョウに代筆してもらってはダメですか?」

と訴えるが

ツル先生「震えた字でもいい!

とにかく自分で書きなさい!」

また怒られる・・・。

 

なにやら儀式が始まった。

次に自分が書いた文字の上、

梵字の円の中に

右手を置くよう指示を受ける。

 

と同時に

ツル先生は耳に障るほどに

鈴を鳴らし何やら呪文を唱え始める。

 

鈴の音が凄すぎて頭が痛い。

手を置いた瞬間、

震えが治まり

頭頂部からスーッと身体の下部に向かって
身体の不調が解けていくのがわかった。

 

ツル先生が呪文を唱え終わる頃には、

虚ろだった目もパッチリ開いた感じだし

動きが止まっていた内臓も

グルグル動き出しているよう、

なにより身体が軽い!

 

アンナ「あれ?ダルさの余韻はあるけど、

普通に座ってられるし、数日間のあの

苦しみは何だったんですか?!」

 

ツル先生「人間の細胞って何個あるか知ってる?」

 

アンナ「え?何十億とか?細かく知りません。」

 

ツル先生「人間の細胞は60兆!

霊体は一つの細胞に一体入れるの!」

 

アンナ「えぇ、そうなんですか?!」

 

ツル先生「で、あなたにの身体には

10万体の霊が入り込んでたの!

そりゃ熱も出すでしょ!

なんで気付かないんだ?」

 

アンナ「え、いや、気付けって言われても

そういうの分からないですし。」

 

ツル先生「アンナさんが熱を出す前に、

何か大変な状況はなかったかね?」

 

アンナ「あー、去年の秋頃だったかな、

息子が高熱出して入院しました。

川崎病』だったんです。

心臓に、動脈瘤ができるかも。とか

言われてすごく怖い思いしました。」

 

ツル先生「アンタそれでも母親か!!」

 

アンナ「は?!(*_*)」

 

ツル先生「アンタが霊に気付かんで放っといたけん、

母親が一番堪える、子供が病気になったとたい!!

アンタの代わりに子供がキツイ思いしたったい!

かわいそうに・・・。」

 

アンナ「は?(O_O)どういう事ですか?」

 

ツル先生「アンナさんに霊達は訴えて来てたんだ。

頼って来てるのにそれに気付かないでいると、

どうしても気にしないといけない状況に

追い込まれるということ。

 

霊が霊を呼んで、

10万体の霊を身体に溜め込んで

それでも気付かんけん、

子供がアンナさんの身代わりに

なってくれたったい。

母親ならそんなことするな!」

 

いや、そんなこと言われても

わからんもんは分からん・・・。

なんだか分からんのだけど、

アンナのせいで

息子が苦しい思いしたのなら

それは申し訳ないことをした。

 

なんだか分からんのだけど、

アンナは一人静かに反省した。

 

そんなこんなで

今まで知らなかったことを

色々教えてもらい

これからは気を付けていこうと

思ったアンナだった。

 

今まで拒絶していたツル先生でも

この状況なら

そりゃ
「スゴイ人だ!!!」と完全に信じるでしょ。

 

PS:こんな事があったという話です。

今だから言えるんですけど、

ツル先生の話は、ほぼデマなのでこれ見て信じちゃいけませんよ!