バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

萬里は祈祷師【第一の人生】19の章

*登場人物*

・アンナ←萬里の源氏名

・マスター←L.S含め3店舗経営するオーナー(愛人に溺れ最近店に出てこん)・萬里の雇い主

・「まい」と「くみ」←辞めたレギュラー二人と、入れ違いで入店した女の子二人

 

マスターの口撃は相変わらず。

女の子達に嫌われたくないのか、

毎回店には顔を出さず、

話がある時はアンナを外に呼び出す。

 

マスターの言いたい事は毎回同じ。

・売上が悪い

・レギュラーの子が営業できてないから客少ない

・接客が悪いというクレームが来ている

(↑これは嘘でハッタリ、アンナは情報収集済)

・バイトよりレギュラーの教育を強化しろ!

・アンナは今まで以上に外で呼び込みしてこい!

 

これに対し、アンナは

「マスター店出て来てないくせに、

女の子達の何がわかんだよ!

私は毎日彼女らを見て話ししてんだよ!

みんな何も努力してないわけじゃない!

今までのやり方変えて、

しつこい営業で逆に客減ったら

マスターの責任とも言えるんやけんね!

どうしたらよくなるか、

お互いフォローし合いながらそれぞれに

ちゃんと考えとるわ!

毎回金の事ばっか考えてんじゃないよ!」

 

と言いつつも、

メインとなるレギュラーの女の子達の

仕事ぶりは実際手を抜いていた・・・。

週末は女の子の数も多く

なんとか客を呼ぶ事はできる、

だけど平日は、

ほぼアンナが営業かけた

お客さんの売上だけだった。

 

マスターは店に出てこなくても、

回収した伝票を見れば一目瞭然だった。

 

でも、自分が頑張る事で補える事なら、

できるだけプレッシャーになる事は女の子達に

伝えないように務めた。

平日来てくれるレギュラーは

今2人しかいない、

アンナとしては

毎日来てくれるだけでもありがたいから。

 

レギュラーの居ないところで、

毎日のようにマスターとのせめぎ合い。

 

女の子達にとってマスターからの

店外への「呼び出し」は、

凄まじい緊張感が走り、

何か大きく覚悟をしないと

いけないような空気感になる。

 

それを知っているので

マスターが本人達に

直接説教することのないように、

アンナはなんとか売上をUPする事を

毎日のように考え行動していた。

 

女の子達はそのフォローをすれば済むようにと

必要以上の手間も与えないようにした。

 

本当のところ

スタッフの給料と当日の仕入引いても

マスターの手元に残るであろう

安定の売上はしていたのだけど、

強欲になっているマスターには

それでは足りないようだ。

 

だったら自分が働けばいいだけの話

なんだけど、矛先はやはり

レギュラーの女の子2人。

 

店外呼び出しは

何度も食い止めたが、

アンナの知らないところで

マスターは

二人に呼び出しをかけていた。

当日になってそれを知って

アンナも来い!と

構える暇もなく、何を話すのかも知らず。

 

まぁ、結局言う事は同じなんだけど

その言葉には私情が入りすぎている。

誰が聞いてもそう感じるであろう、

言葉の節々に納得できないものがある。

 

でも、アンナはこれまで何ヶ月も

この状況を押さえ込んでレギュラーの子達を

庇って来てたのだし、時にはマスターと

直接話をする機会も必要ではあるなと、

今回は

相槌打つ事も、否定する事もなく、

ただ黙って話を聞くことに徹した。

 

あまり意見や自己主張をしない子達でもあるし、

この際言いたいことを言ってもらうのも

いいかもってね。

 

アンナは言いたいことは言う。

ママになった時に、まず嫌われる『覚悟』を

しっかり持った、言うべきことは言う!

間違ってないと思うことは、

きっちり伝える!

 

だけど、

人を育てるということは苦手。

というよりも、まだ人間は

自分の子供しか育てたことはない。

 

大人を指導して育てることは慣れてないし、

よく分からんので

イライラして怒ったり責めたりするよりも

アンナが先に動けばいいじゃん!

って思ってしまう。

 

その結果がコレだったのかもしれない・・・

マスターの呼び出しの後、

改めて三人で話し合いの場を

設けるように言われ、

L.S内で話をした。

 

アンナ「何か思うことがあるなら、

この際なんでも口に出して言って。」

 

レギュラー二人揃って言ったことは、

「今週いっぱいでお店辞めさせてもらいます。」

 

「は?」ですよ。

 

何一つ頑張ろうとはせず、

いつも誰かがどうにかしてくれると

思ってる。

こんな人間ばっかだよ。

 

アンナ「辞めるていうたら、

普通は1ヶ月後とかだよ?

それが無理なら、今週末までに

自分の代わりの女の子連れといで。

そしたら認めてやるよ。」

と最後の嫌味言うたりました。

 

実際女の子連れてくるとか

無理なの分かってるし、

特に引き留める気もないんだけどね。

 

何が悲しかったって、彼女らが辞めた後

お客さんから聞いた話。

 

客「ママ。辞めた子が最後に

接客してくれた時にさ、

なんで辞めるの?って聞いたら、

ママが庇ってくれなかったから。

って言ったんだよね。

俺さ、ずっとママが庇ってきてたの知ってたから、

なんでこんなこと平気で言えるんだろ・・・って、

悲しくなったよ。

大人しくて良い子だと思ってたけど、

意外と腹黒かったり

人って見かけじゃ分からんねぇ。」

 

はぁ、、、

今までやってきたことってなんだったんだろ?

て間違いなく思いましたよ。

『人材育成』ってどういうことなのか、

この頃色々と実践で学んだ気がしてます。

 

どっちにしろ、

あのマスターには私もついてけないし、

こんな店に女の子達を

残していくわけにもいかないし、

アンナが辞める前に

辞めてもらって良かった。

と思うようにしましたよ。

 

幸い辞めた二人をキレイに補う形で

人伝いに二人の女の子「まい」と「くみ」が

レギュラーで来てくれることになった。

 

マスターは知らないが、

アンナは今年いっぱいで辞めるつもり。

それを知らないまま、働かせるのは

せっかく来てくれたその子達に

申し訳ない。

かといって、どんな人間か分からないし

今すぐ話せばマスターに話がいくとも限らない。

 

しばらく一緒に働いてどんな人間なのか

見極めて考えよう。

 

接客に絡めながら「まい」と「くみ」の

素性を探る・・・

 

くみは聞いていた年よりも

はるかにアンナの年上だった!?

どうりで化粧濃いw

メイクのおかげで若そうには見えるが

手の年齢はごまかせない。

(年齢詐称は夜の街ではよくあることです。)

しかし夜の店歴は長く、

クラブやラウンジ、会員制といった

品の良いお店にいたらしく

落ち着いた、安心感のある接客をしてくれる。

なにより年下の私をきちんと立てて

敬ってくれるところがすごい。

本来あるべきママの品格です。(←アンナ完敗)

 

そして

なぜこんな状況になったのかは知らんが

まいはマスター愛人の妹だって!?

 

こりゃ一番警戒するべき相手・・・

と思ってたけど、

まいの話では、姉妹仲が非常に悪く

愛人の姉のことは「軽蔑」していると言うw

 

じゃ、なぜこの店を手伝う気になったのか?

・夜のお仕事を一度やってみたかったけど

一人でどこかの店に入る勇気がなかった。

・店に愛人が来ることはないということなので。

・以前客として来た時に、アンナさんておもしろい

と思ったから一緒に働いてみたかった。

 

ごめん・・・客で来てたの覚えてなかったっす。

うん、でも、すごくカワイイこの子。

 

うん、この二人なら

「アンナが辞めてマスター撃沈作戦」は

話しても良さそうだ。

 

最後に良い人たちに巡り合ったわぁ。

 

なんていうのかなぁ、こういうの、

捨てる神あれば、拾う神あり?だっけ?

ん?情けは人の為ならず?

 

最終的に、

自分に返ってくるものって

自分の行いに沿うもので、

私は頑張った

私の行動は間違いじゃなかった。

ってしみじみ噛み締めた時でも

あったのですよ、この時は・・・。

 

この時は。ですよ。