バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

萬里は祈祷師【第一の人生】36の章

*登場人物*(萬里の幼児期振り返り)

・萬里←普通の人(「勘違い」と「気のせい」で生きている)

 

 

萬里は子供のころから

リアルな夢をよく見ていた

それは大人になっても続き

成長と共に内容もより現実味を

帯びるようになっていった

 

一番よく覚えている夢がある
まだ保育園の頃、

萬里家族は

祖父・祖母・祖祖母と

一緒に暮らしていた

萬里は

極度の曾おばあちゃんっ子

曾おばあちゃんも

兄弟の中で

萬里を一番可愛がってくれてた

 

曾おばあちゃんは『ちんかばぁちゃん』

おばあちゃんは『おっかばぁちゃん』

筑後地方ならではの呼び方

 

ちんかばあちゃんは

後妻さんで、じいちゃんとは従弟

曾祖父さんとの間に子供は居ない

出産の経験はないが、

隣近所の乳が出ない母親たちに代わり

ややご(赤ちゃん)にお乳を飲ませていた

出産経験なしでも

母性の強さだけで

母乳が出るとか

そんな現象も起きるらしい

 

何事も

想いの強さと気合いと粘り強さ。

萬里のそれも

ちんかばあちゃん譲りかな

 

萬里は毎日

ちんかばあちゃんと寝ていた

 

ある日から、

毎日同じ夢を見て

泣きながら目を覚ますことが続いた

 

早朝

年寄りはみんな起きている

いつも萬里が泣きながら起きた時
三人はいつも

朝のニュースを見ていた

 

ジジババ「萬里ちゃんどうした?」

萬里「お山が爆発して、

なんかドロドロ出てきて

いっぱい逃げて怖かった」

三人は「夢みただけよ、

大丈夫!

怖かことはなんもなか!

大丈夫大丈夫。」

と毎日なだめてくれる。

 

三人が居る傍で

保育園の準備をするまでの

少しの時間安心して寝ていた。

その怖い夢が続き

一週間程経った朝

萬里はまた同じように

泣きながら目覚め

居間へ行く

テレビの画面に流れるニュース

夢と同じ光景が映し出されていた

 

萬里「ばあちゃん!じいちゃん!

これ!この夢見たと!こわいよ~」

 

どこの山だったかは

はっきり覚えていないが

やはり三人「偶然たい、ああ、

こんな夢やったやったなら

そりゃ怖かったろう、

近くの山じゃなかけん

大丈夫、大丈夫」

 

夢で見た映像は

どんな夢でもきっと大丈夫

「夢は夢」

 

誰にもわからない

萬里の勘違い

 

それは小さい頃から

始まっていたのだった

 

 

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