バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

【第一の人生】48の章

*登場人物*

・萬里→沖縄なう!

・ダーリン→沖縄なう!

・裏先生→奇跡を起こす、凄腕の気功師(沖縄へ来た目的の主役)

・ゴリマッチョ→ダーリンの先輩(うっち先生を紹介した、ダーリンの上をいくうっち先生崇拝者)

・ともくん→ダーリンの後輩(新婚ホヤホヤなので、新妻と来ている)

 

 

萬里はこれから行われる

気功による

講演&治療会に向かっている

 

ダーリンの後輩ともくんは

「俺は絶対その手には乗らん!

絶対倒れない!!」

と萬里とは真逆の意気込み

 

そもそも、ともくんは

目に見えないものは

信じないというタイプみたいだ

 

会場にはたくさんの人が集まっていた

数えてはいないけど

50人居るのだろう

なぜ沖縄なのか?

先生曰く

沖縄は他のどの地域より土地の氣が高く 自分の力を存分に発揮できるのだそう

 

それに関しては今の萬里なら

納得できるが

この時はその『氣』が

なんなのかすら分かっていない

 

夏が好きな萬里にとっては

沖縄最高の場所だ!

ということくらいしか分からない

 

受付を済ませ

会場に入ると早速始まる

 

事前に聞いていた

全員に向けて手をかざし

5秒以内に倒れます。

これがどうやら

最初の掴みのようだ

 

『ヨシ来た!!!』

 

俺は絶対倒れない!

とあれだけ意気込んでいた

ともくん

 

あの意気込みはどこへ・・・!?

秒速で 真っ先にダウン

周りはみんな

困惑した顔をしながら

パタパタ倒れていくのに、

萬里にだけはいつまで経っても

その波がやってこない

 

あれ?力が抜ける気がしない・・・

萬里心の声

「ヤバイ、萬里一人だけ立ってる・・・

ぬぁっ!どうしよう!

残るは萬里だけじゃんゆう★

皆んななんでそんな安らかに倒れてんの!?

いかん、

ここはやはり空気を読んで

自ら倒れるべきか!?」

皆さんとは違う困惑顔で

色々と迷っていると

間髪入れずに裏先生 「あなたはこっちに避けて

立っていなさい」と

片手で隅へ押しやられた

 

なんだろ、普通ではない状況ではあるが

なんか半端ない疎外感・・・ふふっ。

 

数分経っただろうか

 

裏先生「私が手を叩くと

みなさん元通りになりますよ、

パン!!!」

すると、倒れていた人達がみんな

ゾンビのようにゾロゾロと立ち上がる

 

そして次は

参加者に腕相撲をしてもらうという

 

掴みはOKのはずな

最初のパフォーマンスで

倒れなかった萬里へのリベンジなのか

希望もしてないのに指名された

萬里とゴリマッチョとの

『腕相撲対決』

ゴリマッチョに向けて

裏先生が声をかける

裏先生「あなた(ゴリマッチョ)は

今から私が手を叩くまでの間、

腕に全く力が入らなくなります、

生まれたての赤ちゃんより弱い力です。 さあ、お二人で

腕相撲をしてください。」

 

萬里とゴリマッチョは

わりと気合い入れて

ガッチリと手を組んでいる

 

裏先生の「はいっ!」という

掛け声で力を込める

 

「ふんっ筋肉

 

萬里はゴリマッチョの太い腕を

秒殺で倒した

ゴリマッチョ「あれ?あれ?なんで?

もう一回!」

 

何度やっても同じ

萬里のか細い

白魚のような指2本でも

軽々倒せる

 

萬里「ゴリマッチョ、

手加減せんで本気出してよ!」

 

ゴリマッチョ「いや、本気出そうにも

力が入らんとよ!」

 

ゴリマッチョ不安顔で

焦ってる笑

 

何度勝負しても

結果は同じ

 

ゴリマッチョに

変な汗が出てきたところで

「パン!!!」と手を叩かれる

 

裏先生「はい!元に戻りましたよ!

もう一度勝負してみてください!」

もう一度、同様に勝負すると、

ハンデをもらっても

ゴリマッチョの腕は倒せなかった

 

会場ではどよめきと共に

拍手が起こる

 

少し驚いた。

 

ん〜、でも今考えると

なぜ萬里の力を

増強するのではなくて

ゴリマッチョの方を

弱っちくしたんだろ・・・

 

最初のパフォーマンスで

萬里だけ倒れなかったから?

萬里は『氣』が伝わりにくい体質だからとか?

ぱんだ

次は萬里の息子がターゲット

裏先生「あなたは今から犬になります。

立とうと思っても四つ這いでしか歩けません。

そして声を出せば『ワンワン』

としかしゃべれなくなります。」

と発すると

 

息子がじんわりと四つ這いになり、

すごい勢いで会場中を犬のように走り回る

そして、裏先生が名前を尋ねると

息子は「ワンワン」としか答えない

その最中、息子の顔は

はずかしさと戸惑いの表情

その姿は、

晒し者のような気がして

かわいそうで、なんだか怒りも込み上げた 『早く戻してあげて!』と思ったとき

再び「パン!」

裏先生が手を叩く

息子、元に戻る

 

『なんか不快感・・・』

 

疑問に思いつつも

ここは裏先生の舞台

この場は付き合うしかない

 

次は、ダーリンを

前に引っ張り出す

拍子抜けな普通の質問

裏先生「あなたの名前は何ですか?」

 

ダーリン「ダーリンです。」

 

裏先生「どこから来られましたか?

あなたの住む街には何がありますか?」

 

ダーリン「福岡県の久留米市から来ました。

私の街には高良山という山があります。」

 

裏先生「わかりました。

では、今からあなたの名前は木村○哉です。 そしてあなたは東京から来ました、

あなたの街には東京タワーがあります。

はいっ!!」

 

裏先生「もう一度お伺いします。

あなたの名前は何ですか?」

 

ダーリン、

堂々と「木村○哉です。」

ダーリンの顔は引きつって戸惑っている

 

会場には笑いが起こる

ダーリン「あれ?!頭じゃわかってるのに、

自分の名前を言おうと言葉出すと

『木村○哉』しか言えない!?」

 

裏先生「では、あなたはどこから来ましたか?

あなたの住む街には何がありますか?」

 

ダーリン「東京から来ました。

私の住むところには東京タワーがあります。」

 

意思とは裏腹に

いうことをきかない口に

もどかしさを感じている

そして裏先生

他の参加者に向けて面白おかしく

 

裏先生「彼は木村○哉さんらしいですよ~、

すごいですね~ みなさん今の内にサイン

もらっといたほうがいいですよ~」

 

と会場内にはまた笑いが起こる

 

萬里には小バカにしたように聞こえた

なんだか、うっち先生と

シンクロする部分がある

やっぱりなんだか不快感・・・

そして非常に不愉快ふふっ。