バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

【第二の人生】60の章

*登場人物*

・萬里→主婦です。お役目受け入れてから修行の日々なんですけど、恐怖心って簡単には無くなりません。でも、生き死に関係なく人との想いの繋がりで成長することができるって実感。

・H氏(おじじ)→リーマン能力者(本物)萬里にお役目を伝え受け入れさせた人。萬里の修行のサポートしてるけど、涼しい顔してわりとスパルタ。

 

 

H氏「ちいさんの身体に

触れながら何を思いましたか?」

 

萬里「う~ん、

まず女の子の安全確保。

危険な場所から降ろすために

慎重に抱っこしました。

そして、

泣き止むまで抱っこしてて

光が見える方に

送り出しましたよ。

あと、ちいさんの身体に

氣を入れるイメージをしました。

 

全部頭の中でイメージして

動いただけなんですけど。」

 

H氏「それでいいんです。

そして気持ちを傾け

相手の立場になって考え、

どうしたら安心させられるか

それが基本なんです。

 

比べたらいけないんですが

ミナちゃんは

『自分がどうにか供養してやる!』

『言う事を聞け!』

『なぜ私の言うことが聞けないのか?』

と崖から降ろそうと

無理やり手を引っ張り、

全てが自分よがりの

上から目線でした

 

今まで自分でやってきたという

自負があったのでしょうが、

それでは相手には響かないのです。

特に子供には、

それなりに母親のような

優しさが必要になります。」

 

萬里「なるほど~」

 

この夜お布団に入ると

なんとなく

いつもと違うタイミングで

映像が始まった

 

広いショッピングモールのような場所で

異様に長いエスカレータを

萬里は1人で降りていた

 

萬里以外には誰もいないが

下に降りていくにつれ

1人の女の子が視界に入ってきた

 

『あぁ~

どう考えても

このまま降りてけば、

あの女の子と萬里しかここには

居ないよな~、

どうしよう

話しかけられたら怖い・・・』

 

遠目に見たその姿は

少し昔風の格好で4〜5歳くらい

 

なぜか地上が近づくにつれ

その女の子が

萬里の知ってる子に思えてきた

 

『あ!この前の

盲目の女の子だ!』

 

天に帰ったはずだけど

なぜまたこんなところまで

戻ってきたんだろ?

 

女の子は無言で萬里を見ているけど

気持ちが伝わってきた

 

女の子『お話したい』

 

『あぁ~どうしよう

聞いてあげなくちゃいけない

けど怖い~

他に誰もいないし』

 

と思いつつも

 

恐る恐る

女の子の前まで歩いた

 

話すとなると

やっぱり子供には

子供の目線にならないと

真剣に聞いてるとは言えないな

 

しゃがんで女の子の顔を見て

目を合わせた

『あれ?怖くない?』

 

女の子は、

もう盲目ではなくなっていた

家族の姿も自分の目で

見れるようになったと

話し始めた

 

『うんうん!』

と聞いてあげる

 

そして

「ありがとう。」の言葉が。

 

先日のことを、

わざわざお礼に来てくれたのだった

 

萬里「どういたしまして。

みんな一緒でよかったね

また遊びにおいで!」

 

こんな言葉が何の抵抗も無く

出てくる

ありがとうの言葉が

こんなに嬉しいものなんだ?!

 

少しやりがいが出てきた

そして女の子のおかげで

一番大事な

『目を合わせて会話する』

ということができるようになった

 

この日から、

生きた人間と会話するように

亡き人達を怖いと思わなくなった

 

この女の子は

萬里にとって忘れられない人となり

この時の嬉しさも忘れない

 

役目を受け入れた時

「報われると思うな」

「感謝されると思うな」

「理解してもらえると思うな」

って散々心構えを伝えられて

いたのだけど

 

この日だけは、

きっと

報われない事ばかりではない!

 

と思える

一晩の出来事になった

( ´▽`)