バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

【第一の人生】59の章

*登場人物*

・萬里→今の所まだ主婦(感が強い程度)

・ユカり→同じマンションに住んで居たダーリン先輩の嫁(だったけど、離婚して実家に一人帰った)霊アンテナ持ってる、感が強い

 

 

萬里は何かにつけて

ユカりとミカちんと

三人で一緒に遊んでいた

 

萬里とミカちんは同じ歳

ユカりは2歳年上

三人共全く性格は違うけど

お互いを思い遣る気持ちは

同じくらい持ってる

 

離婚して、子供を残し

単身で実家に帰ったユカりは

これから生きていくために

お店を始めたいと思っていた

 

母親を説得し、

実家を担保に数百万が下りた

 

ユカりはすぐに友人に依頼し

工事に取り掛かった

開店資金も必要になるので

融資から一部引いた金額 の中から

できるだけ抑えた金額で

改装してもらえるよう 友人との話がついたと聞いた

 

ユカりは差額を懐に入れるような

悪い考えは全く持たないため 改装費用を安く仕上げてもらい 浮いた分は返済に充てると考えている

結構、細かく

いろんな計算と計画をしていた 店舗も自宅も友人であるという

業者の友達と相談しながら

ユカりの好みに仕上がっていく

 

まずは居住空間を先に仕上げ

自分の荷物を運び入れる段取り

 

実は萬里、ユカりの実家には

上げてもらったことがない ユカりも一般に言う『出戻り』 家族に気を遣ってのこともあった。

 

なので 新しい部屋が出来たら、

家族にも気兼ねなく集まれる 「そしたらいつでも

皆が自由に出入りできるようにするから 萬里も家出とかしたらいつでも泊めるよw それまで楽しみに待っててねぇ~~♪」

って

 

いつもユカりの考えることは

自分より人

新しい自分の部屋に

荷物を少しづつ運び込み 2Fで生活しながら

下の店舗の内装を友人と話し合いつつ 進めているらしい

 

徐々に出来上がっていくお店 工事の間、外観しか見てないが

なんだろう ユカりが選んだとは思えない

暗い色合いで

こう言っちゃなんだけど よく遊園地などにある

『お化け屋敷』のようだ

 

ユカり「ねぇ、いいやろ~この色! 私の大好きな紫!」

 

萬里「うん、いいねぇ~ちゅん

 

紫にもいろいろな色調があると思うが その中でなぜこの色調を選んだのだろう・・・? と疑問に思うような色合い

 

まぁ、本人が気に入ってるのなら 萬里が口出しすることではない

 

内装はお楽しみだから!と言って まだ一度も見せてもらってないが ある程度仕上がったらしい

 

ユカりはペーパードライバー、

車も持っていなかったので 時間が合うときは

飲食店を始めるのに必要な手続きや 買い物に行くために萬里が車を出した

この時点で

店舗として営業のための設備が整ったため 申請を出していた

飲食店として営業するための

許可証を受け取りに 総合庁舎までユカりを連れて行った

萬里はしばらく外で待つ

すると、書類を手にし 顔をしかめるユカりが出てきた

 

萬里「どうした?」

 

ユカり「許可出せないって・・・」

 

萬里「え?なんで?」

 

ユカり「私がいない時に、

許可できるかどうか 一度現場を見に来たらしいんだけど 許可を出すのに必要な

水道の数が足りないとか 営業許可出せる配置じゃないとか 店舗専門の友人がやってるんだから その辺知ってるはず

なんだけどなぁ・・・ なんでやろ?  大元の水道やガス管から

作り直しせなん感じ・・・ ちょっと友人に電話してみる。」

 

電話後 ユカり「ちゃんと許可取るだけの状態に

作ったから間違いなく許可取れるはず!

保健所の判断がおかしい! もう一回掛け合ってみてくれ

って言われた・・・」

 

萬里「え?そんだけ自信あって

なぜその程度の仕事? 業者とのビジネス契約は

終わったて言いよると?」

 

ユカり「うん、

うちの仕事は終わったって。 でも許可下りないんじゃ

どうしようもないし 友人と話し合ってみるよ。」

 

その業者、友達のはずだよね?

全然スムーズにいかないじゃん 許可下りないとか、

それはプロの仕事とは言えない・・・

 

ユカりは電話で業者の友人と話し、

後日手直しに来る約束をした しかし、約束したその日に

業者の友人は来なかった

ユカりは待つと言った

『約束したから・・・』と

 

1週間・・・2週間・・・

待ってもなかなか来ない

 

『嫌な予感するなぁ・・・』

 

ユカり「連絡が取れない・・・。

このままじゃ 店を開けられない・・・。 二階の部屋は住むことは可能だけど

水回りは後回しにしてたから、

寝ることはできるけど

お風呂やトイレは 結局実家にいかないといけないし 700万も借金できちゃったし、

実家も守らんといかん・・・ 店さえ開けられれば

返済はなんとかなると思っていたのに・・・。」

 

びっくり700万Docomo108Docomo108

 

それからユカりは

業者の友人のことを訪ね回り 必死で探した

 

ユカり「そう思いたくなかった、 もう20年来の友人だったし、

信じてたのに・・・ まさかこんな事するとは

思ってなかった・・・ 700万丸々持って逃げられた。」

 

ユカりがまず考えたのは

母や祖母の大切な家を

失うかもしれない事

お金を持ち逃げされた事よりも 信じていた友人に

裏切られた事の方がショックだった

 

ん~、分からんでもないが 離婚して間もない1人身の女に

700万はデカ過ぎる

どうするんだろ・・・

自分のことのように

不安と怒りでいっぱいになった

 

それからユカりからの

萬里への連絡も減り始めた

その間、

どう過ごしていたのかはわからない

前ほど家は近くないし 実家には呼んでくれないので 会う回数は次第に減った

 

ユカり「ちょっと落ち着いたら

私から連絡するね。」

 

とうとう、ほぼ連絡がつかなくなる

事が事だっただけに、

ユカりのことを尊重して 萬里からの連絡は極力避けた

そして数ヶ月ぶりに連絡があった

萬里「久しぶりに会いたい!!

私が迎えに行くから会って!!」 と萬里は懇願した

 

元々痩せていたユカりは

さらに痩せ細って やつれている、

前のような明るさも

なくなってしまった

 

萬里には村さんのような力はないけど

ユカりの目を見て思った

 

今目の前にいるユカりは

萬里が知ってるユカりではない

それには絶対確信がある

連絡のなかった

数ヶ月のことを話してくれた

 

ユカり「あれから内装屋の友人を探して 間に他の友達に入ってもらいながら

話をしてもらったんだけど 『お金は材料代で飛んだから

1円も残ってない』の一点張りで・・・。

私ごはんも食べれなくなって、

眠れなくて 急に意識がなくなったり、

震えが出たりで 今、精神科に通ってる。

これから裁判することになったから 病気に負けてる場合じゃないからね 裁判と治療に集中したいから・・・。」

 

無理して笑顔を作ってるけど、

衰弱してる

ほんわかキャラだけど

意志の強さはしっかりと持っている

以前のユカりではない

でも、心配することを嫌がるし 『大丈夫だから』を連発する

これ以上萬里に

できることはないと言わんばかりの ニュアンスを必死で口にする

 

あんなに仲良くしてたのに

今はすごく距離を感じる

 

あぁ、今は何も言わず

見守るしかないのかな・・・

 

ユカり「しばらく

私から連絡するまでは

そっとしといてくれんかな?」

 

人を拒絶するような

キツい言葉を吐くことなんて 絶対に無かった人が

こんなことを言うって

余程のことなんだな・・・

 

それから

ユカりとの連絡は

途絶えてしまった

 

ユカりのことは

いつまで経っても心配だった

でも、お金を調達することも、

病気を治すことも ユカりをそうさせる

何かが居るかもしれないことも

何一つ萬里が解決してあげられる事は無い ずっと一緒に楽しく過ごせると思っていた

ユカりが居なくなってしまった

 

ユカりを支配している『何か』

それに気付くこともできない萬里は

また悔しさを抱えたまま・・・