バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

【第四の人生】16の章

*登場人物*

・萬里→主婦でお役目持ち。ナコちゃんの相談を受けています。

・ナコちゃん→友達のママ友。色々な悩みを抱えていて、とても不安定。

 

 

萬里が見る限り

ナコちゃんの夫は浮気なんか

できるような人ではない

 

ナコちゃんの問題は

心の問題のような気がしてきた

仕事も辞めたいと言ってるし

色々なことに関して疑心暗鬼

 

一つ一つ解決していかないと

いけないんだろうけど

こういう相談で霊能者を

巡っていたとは思えないなぁ

 

ナコちゃんの気になる

ニオイに関しても会社の人が

ナコちゃんの悪口を言ってる

気がするのに対して、

どんなに否定しても

気になるのならもういっそ

その会社は辞めてしまった方がいい

 

旦那さんが浮気している

かもしれないことは、

証拠を見つけて突き詰めるのなら

それは離婚覚悟でないといけない

推測の中で旦那さんと

喧嘩するのは

旦那さんからすると

理不尽さしか感じないから

ヒステリーで疑い深い

ナコちゃんに嫌気が

さすかもしれない

 

ナコちゃんはどちらかというと

精神疾患のような気がしてきた

 

そして何だかわからないのだけど

ナコちゃんと話していると

萬里の頭の中にある映像が

チラチラ浮かんでくる

あまり気持ちのいいもんではない

 

ヒモに首をかけて吊っている

年配の男性の映像

 

ん?出かける前に見た

萬里おじさん化した時の顔に似てるぞ?

 

嫌な映像だなぁと思いながらも

ナコちゃんの話を聞いてたんだけど

頭の中では同時進行で

その映像が何なのかを考えていた

 

だいたいお尋ね(相談)の時は

家を出る前から

これから会う人の状態や

近況が体に出ることが多い

頭痛持ちの人だったりすると

萬里にも頭痛が始まり、

胃腸を崩してた人だと

朝からトイレと仲良しになったり、

喘息持ちの人だと呼吸が苦しくなる

 

朝、萬里の顔がおじさんだったのは

もしかしたらナコちゃんに

関係のある人なのかもしれないと

思い始めた

 

あまりにも映像の回数が

増えてきたので

唐突だけど思い切って

聞いてみることにした

 

萬里「さっきから度々映像が

飛び込んできてるんだけど、

もし関係なかったらごめんね。

身内の方に自死した方とかいない?」

 

驚いた顔をした

ナコ「はい、居ます!

実はそのことで

いろんな霊能者の方のところへ

行ってたんです。」

 

ナコちゃん涙目になった

 

萬里「もしかして

吊ってた?」

 

ナコ「はい、父なんですけど

長いこと鬱だったんです。」

 

萬里「それは病気で

亡くなったんだから

自死だと思わなくていいよ。」

 

ナコ「家族がみんな

後悔してるんです、

もしかしたら防げたかも

しれなかったって。

今まで霊能者のところへ

色々行ったけど、

話す前にそのことを

言われたのは初めてです。」

 

萬里「今までどんな

やりとりだった?」

 

ナコ「どうしましたか?って

聞かれて、父のことを話すと

『地獄に落ちて苦しんでます。

自殺者はみんな地獄へ行くんです。』

って言われて・・・。

『お父様は今あなたの横で

苦しい苦しいって言ってますよ。』

って言うんです。

成仏できてないって・・・。」