バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

萬里は祈祷師【第一の人生】17の章

*登場人物*

・アンナ←萬里の源氏名

・マスター←L.Sという店のオーナー(萬里の雇い主)

・ナギ←新店舗のママとしてスカウトされてきた、アンナの最初の店の同僚。

霊が見える子(余貴美子似・筋金入りの元ヤン)

・ツル先生(仮名)←L.Sが相談・結界でお世話になってるお坊さん霊能者

・村さん(仮名)←ナギの紹介で知り合う事になった、本物の霊能者(鹿児島在住・

日常はサラリーマンで霊的な人ってのは非公開)

 

 

ザッとナギの話を聞いた限り、
アンナの身体の不調も
やはり

少なからず霊が関係しているのかな!?
と思わざるを得ない・・・。

 

ー以前熱で寝込んだ時もそうだったし・・・。

 

しかし、色々と

しっくりこない部分も多い話だ。

 

まず、

ナギの母親の件、

お祓いして、結界を張ってたのに

なぜそんな事態になったのか?

結局どう解決したのか?

ツル先生の対応は?

 

「ツルさんは強い力を持っているが

悪い霊能者だ!」とナギは言い切った。

 

アンナ「え、でも、

私が熱出して死にそうだった時

ツル先生は一発で解決してくれたよ?」

 

ー結界は本来、人を護るべきものー

なのにツル先生は『結界』と言いつつ

『逆結界』を張っている。

目に見えるものではないので、

その違いには誰も気付かない。

「逆結界」とは、

張られたその空間に

継続的に多数の霊を集めることができ、

その場所で生活を営む

生きた人間達に、

あらゆる形で不具合をもたらすもの。

 

普通の人間にはその違いなんかわからない。

本来の結界がどんな役割なのかも

よく知らないし、見えるわけでもない。

それをいいことに、

ツル先生は相談者達を

苦しい状況に陥れる手段で、

結界を張るフリして

「逆結界」を張っていた。

そうすれば、

人は苦しい状況から逃れたくて

何度も相談に来る、

そしてお金を落としていく。

「逆結界」が有る限り

悩みは尽きないので、

必然的にその繰り返しになり

相談者が生きている限り、

永遠に金儲けができるのだ。

 

さらに、逆結界にオプションで

相談者(経営者)に対し

悪霊と呼べるレベルの霊を一体

もれなく憑ける・・・。

 

それが出来るのは

本当に力のある証拠でもあるが、

この道の人間は

絶対やっちゃいけないこと。

 

この出来事を機に

ツル先生との繋がりは断ち切った

ナギ親子

 

ナギ母がおかしくなるずっと前

(ツル先生に依頼する前)
ナギ母は不良のナギに手を焼いていた、

 

そんなナギを更生させるため、

ナギ母が相談し協力して

ナギに必死で接してくれた方が、
鹿児島在住の「村さん」という方。

 

ナギはその村さんのおかげで
自分の進むべき道へと

人生を修正し、

持ち合わせた霊感との付き合い方を学び

人としての行いを

改める事ができたという

 

村さんはツル先生とは一切関係なく

接点もない。

 

なのに、ツル先生の手によって

自分達ではどうしようもなく

解決できない困った状況に陥った人達の

対応を善意でしてくれている人だそうな。

ナギ母はその村さんのおかげで

元に戻ることができたらしい。

 

ーーナギ母はなぜ最初から村さんに相談しなかったのか?

とも思ったが、地元がツル先生と同じで

知り合いの紹介もあり、付き合いでお祓いを頼んだらしい。

こういうことは付き合いでやるもんじゃありません。

 

出会いとは面白い。

 

スカウトを受け

たまたま「働く!」と決めたナギ。

 

この店L.Sもまた

ツル先生の手にかかった店、

そして、新たに勤めようとした店は、

何年も前に一緒に働き

同じ様にいじめっ子に対抗して、

何かと気が合ったアンナが

ママをしている店

だったという・・・この縁。

 

ナギは

この状況を知った時

自分が解決の手助けをしないといけない!と
思ったようだ。

 

ツル先生は実際、

霊能者、術使いとしては

かなりの強い力を持っていて、
人に悪い作用を及ぼす

術を知っている。

 

その能力は計り知れない。

 

その一つが、これまで話したような

世間で言うところの

「悪霊」というものを操り

生きた人間に取り憑かせること。
金儲けにその術を使える人間なのだ。

 

裏(悪)の作用の術を使う人間は、

まず表(善)を知っている。

 

ツル先生は元々、

とある一門で

兄弟弟子と共に修行を積むお坊さんだった、

上からも認められる霊力の持ち主。

ところが、

その類稀なる強い霊力を用い
悪行に手を染め、

金儲けに走ったということで

一門を破門になった人間だった。

 

そもそも、ツル先生は善行を行い

徳を積んでいたはず。

その上で悪に走るということは

表も裏も知っているということになる。

 

正義が勝つ!と思っていたし

ずっとそう思いたいけど、

両面に精通している悪は意外と強い。

 

ナギ「ほら、アンナちゃんが

知ってる、ナントカ先生。(←どうやら塚先生のことを言っている)

その人と悪坊主は同じところにいたんよ。」

 

アンナ「悪坊主って・・・?w」

 

ナギ「あー、あの人にやられた人達は

みんなそう呼んでるよ。わるぼうず。

『先生』とかいう敬称すら付けたくないわ。」

 

アンナ「あーねー、酷い目に遭ったんなら

そうなるよね。」

 

ナギ「でね、アンナちゃんの

知り合いの坊さんと

悪坊主は同じ一門で

兄弟弟子やったとよ。

だから

アンナちゃんの知り合いの人は

悪坊主のことは

知ってたはずなんやけどね。」

 

ーいやぁ、そんな話聞いたことなかった・・・。

まさかそんなところで繋がってるとは

思いもせんし。

 

やっぱり縁って不思議です。

 

で、話戻りますと

結局ツル先生との関わりは

一切持たず

対応を鹿児島の村さんに

頼むということだった。

 

ツル先生が関わっている案件なら

完璧に善意の人間である鹿児島の村さんに
お願いするしかない!ということだ。

ナギはお店の電話で

マスターとアンナの目の前で

さんに電話をし始めた。

 

ナギ「こんばんは、霊(例)の件なんですけど、

はい、今マスターは目の前にいます。

もう怖くてしょうがないです、

今電話してる私を睨みつけてます。」

 

村「・・・。」←会話は聞こえない

 

ナギ「はい、マスターもこっち

見てるんですけど、

後ろの坊主もこっち見てます。

脅迫してきてます!怖い・・・。」

 

村「・・・。」

 

ナギ「はい、

『そいつを呼ぶんじゃない!

ここへ呼ぶな!

お前もろとも殺してやるぞ!』

ってすごい形相で・・・。

村さんを威嚇してます。

波長を合わせないようにするのも

限界です、

私を引き込もうとしてます。」

 

ナギは震えている

怖いもん知らずで、

バリバリの元ヤンキーが

それほど怖がるとは、

どんな姿をしてるんだろう・・・。

 

アンナが見る限りでは

ただソファに座っているマスター、

カウンター内で立って電話をしているナギ、

パッと見、日常の光景。

 

なのに今目の前で

何か凄いやり取りが行われている。

 

ナギと同じ緊張感を

イマイチ持てない目が点のアンナ

 

村さんにL.Sまで来てもらう手配は

できたようだ。

 

ナギ「村さんお時間取ってくれるって。

お店に来てもらうことになった。

マスター、アンナちゃん、

二人とも、

その日は何が起ころうと

死ぬことはないから

何が何でも

この店に辿り着いてね。」

 

ーえ、なに?

ちょっと意味わかんない、

わかんないんだけど

なんか怖いんですけどぉー

ナギ「マスターの後ろの坊主が

ボスみたいな存在だけど、

その坊主が呼び寄せもしてるから、

この店の中には霊がウジャウジャよ。

アンナちゃんはこんなひどい状態の店で

よく何年も仕事できたね、すごいね。

私ならすぐに身体壊れてたかも・・・。」
と呟いた。

 

ーそ、そんなスゴイんだ・・・

うん、たしかに健康な時なんかなかったわ。

しかし

「知らぬが仏」とも言うでしょ

知らなかったから、やって来れた

って事もあるでしょ?

 

こんなこと聞いちゃったら、

これからはきっと

意識せず、気にせずには

いられなくなるよなぁ・・・

 

でも、村さんが来てくれるなら
アンナももっと軽い身体で

仕事できるようになるのかも!?

 

不具合の原因の詳細は知らなくても、

見えないものの影響で

慢性的に不調になっていたとしたら

それを解決してもらえば

アンナは毎日快適に過ごせるかも!

 

村さんと会ったら

何かが良い方に変わるかもしれない♪

 

いや、しかし

村さんに会うまでの時間、

あそこまで全力で拒否感示した

マスターの張り憑き悪坊主に

なんかされやしないか?!

ここにいる霊達の影響で

身体どうにかなんじゃないの?!

 

そんな希望と恐怖が入り混じる。

 

 

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