バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

萬里は祈祷師【第一の人生】16の章

*登場人物*

・アンナ←萬里の源氏名

・マスター←L.Sという店のオーナー(萬里の雇い主)

・ナギ←萬里が初めて勤めたお店の同僚、L.S新店舗のママとしてスカウトされてきた。

霊が見える(余貴美子似・歌手ばりに歌が上手い)

 

ナギはそれからも

体調不良ということで

数日単位で休みを取ることが多かった。

 

新しく出店する店舗のママとして

スカウトされてきたのだけど

オープンするその日までは、

アンナがママを務めるL.Sのスタッフだ。

 

シフトの関係もあるので

さすがにきちんと事情を話すよう
マスターとナギに迫った。

L.S閉店後、ファミレスに集合。

 

ぼちぼちと二人は話を始めた。

ナギの母親は長年美容室を経営しており

ツル先生に依頼をしていたとのこと。

そのナギ母も

ツル先生に相談したり

結界を張ったりしてもらったらしいが、

その頃から母親に異変が起き始めた。

ナギ母は雪の降る真冬に

奇声をあげて

裸で外に飛びだしたり、

真夜中に毬をつく仕草をしながら

聞いた事もないような手毬唄を

歌いだし、

その最中に

ナギらが声をかけるものなら、
突然、血が流れるまで

頭を壁に打ち付けたり、

 

入院した時は、

ベッドの足元に

立派な着物を着た子供が

立っているから眠れない。と

毎日大騒ぎしたり・・・。

 

誰が見ても「気が触れた」

と思うような人間になってしまったと。

 

ナギは元々

世間では典型的な不良と呼ばれる類の子で、

悪い友達と連んで

夜な夜な盗みに入ったり

墓荒らしをしたり、

やってはいけないブツに手を出したり

悪行を積み重ねていたそうで、

そんな日々を繰り返していた頃のある日、

突然霊の姿が見え、声が聞こえるようになった。

 

それからは、行く先々で

何をするにも

誰かに見られ

話しかけられ、

とても今までと同じ生活はできなくなった。

 

ーそりゃそうだ、お風呂にもトイレにも

もれなく何かが同行するんです!

ナギはそのことについて

自分には罰が当たった」と解釈していた。

そのナギ母の奇行が続く際、

ナギ母の後ろに見えたのは

平安の頃らしき

お姫様のような子供。

 

「近寄るな、わらわにかまうでない

わらわの声が聞こえるのか?」と

ナギがソレに気付く度に

話しかけられるようになった。

 

話しかけられても

怖さが先立ちすぐに目を背け、

返答すらできない、

助けたくても何もできない、

ソレに意識を向けると

何かを吸い取られるかのように

力が抜けて体調が悪くなり、

どうしようもない日々が

続いていたということだった。

 

ーナギの過去と今回立て続けに休んだ事と

何の関係が?

 

アンナ「で、今回の事も

霊が関係してるって言いたいと?

ハッキリした理由も聞かされず、

初日から休み連続で、正直ヤル気あんのか?

て思ってたよ。

ていうか、ツル先生繋がりやん?

あの方、力あるんやけん、

問題なく対処できたんやないと?」

 

ナギ「うん、ほんとごめんね。

アンナちゃんに話す事で、

何か危害が加えられたりしたらいかんと

思ってマスターにも口止めしてた。

それに、アンナちゃんが心配して

ツル先生に相談するかもしれない

のも防ぎたくて・・・。

私何もできんし、ソレが何なのか

判断もつかなくて、言えんかった。」

 

ここはL.S、

アンナはママ。

何か大変なことが起こっている様な

雰囲気は感じるが、

今自分の店で起こっている事を

何も知らされなかったことに

少し憤りを感じた。

 

まぁ、気を遣ってくれていたことは分かるが、

この店でそれなりの役割を持っているアンナに

隠されたことは、ちょいと気に食わん。

 

今回何が起こっているのか

きちんと説明するように

もう一度迫る。

 

ナギ「もう、ちゃんと解決するための手配は

してるから、何も怖がることはないからね。

きちんと対処してくれる人に頼んでるから、

大丈夫だからね。」

 

アンナ「いや、まだ何も聞いてなし。

なにその前置き・・・?」

 

ナギ「いや、私がすごく怖くてしょうがないから、

この話聞いたらアンナちゃんも

怖くなるんじゃないかって思って。

安心させようと・・・。」

 

アンナ「聞いたところで、

私何も分からんし、大丈夫よ。

ただ、何で専門のツル先生に

相談してもらっちゃ困るのかも

分からんけど・・・。」

 

ナギが話はじめる・・・

実は・・・

 

マスターの後ろに、

身体が大きくて恐ろしい顔をした

お坊さんが居る。

 

その姿を

捉えることができるナギに対し、

常に睨みつけ

鬼の様な形相で、
「近寄るな!構うな!

お前に何ができる?

邪魔をするなら

お前も道連れにしてやる!」と

マスターと会う度

脅しをかけていたのだった。

ナギが言うには

その恐ろしいお坊さんは

L.S店内にいるときが

一番力を発揮しているらしく、

店内にマスターがいなくても

その気配とエネルギーを

店の中にしっかりと残している。

 

時には、

マスターが居ない時でも

単体で

店の中の5番テーブル

曼荼羅』の前のソファに

ずっしりと腰を下ろし

構えている時もある。

そのお坊さんの力は強烈で

ナギは姿を見ると

視線を引きつけられ

無視できないらしい、

強制的に意識を持ってかれて

お坊さん波長に同調させられる。

 

それにより

マスターと関わり始めた時から、

頭がおかしくなる様になった。

 

お坊さんと目が合うと、

気狂いの様に笑いが止まらなくなったり、

異常行動を起こしたり

突然気を失ったり、

発狂したかのように暴れたり

急な発熱したり

 

不調が頻発していたということだった

やっと状況が少し把握できた。

 

でも、逆に色々な疑問が

浮かび上がるのだが・・・。