バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

萬里は祈祷師【第一の人生】22の章

*登場人物*

・アンナ←萬里の源氏名

・ダイ←L.Sと二店舗目を掛け持ちするマネージャー(マスターの実弟

・りな←二店舗目のレギュラースタッフ(ダイとできてるのは大凡間違いない)

・包丁女←謎の女(ヤバいヤツ確定)

・謎の男←シャラシャラジャージ着用のヤンキー男

 

 

謎の包丁女は

もうアンナしか見ていない

 

右斜め角度から直進で

フラフラと

アンナの正面に!?

 

自分の顔が引きつるのが分かった

が、なぜかすぐ冷静に状況を観察。

ーーー歳の頃は「10代後半?20代前半?

確実にアンナより若い。」

うん、明らかに目はイってる

「薬物使用者!?」

薄いピンクのパジャマ。

「パジャマ!?こりゃ絶対寒いわ。」

裸足・・・どこからきたんだ?

ペディキュアはしっかりしている

「どこかの飲み屋の女か?風俗か?」

包丁・・・

「先が丸くて、刃にいくつも穴が・・・

テレビショッピングでやってる穴あき包丁じゃん!?

先端サクッといかないやつ・・・絶対痛いわコレ。」

 

こ、怖い・・・

しかし、

怯んだり、ビビったりしたら負ける気がする。

よし!何があってもこのまま絶対に視線は外すまい!

 

人って、ほんのコンマ数秒で

こんなに色んなことを考えられるものなんです。

アレですよアレ、

ほら走馬灯のように・・・みたいなやつw

 

アンナ「あんた誰よ?

なんの用?誰かと間違えてない?」

間髪入れず、ひたすら言葉を投げかける。

包丁女「あっちに来てよ!

いいけんあっちにきて!」

と同じ言葉を繰り返す。

 

会話のキャッチボールは無理・・・。

正面に抱えたケーキの箱伝いに

包丁の当たる感触がわかる

 

そのままの体勢で、

包丁女はグッと体を近付けてくる、

せっかくのケーキも守りたいし、

アンナは後退りを始めた。

もちろん、そのまま目線は外さない、

隙を見せないためにも、

ひたすら声掛けは続ける

 

アンナ「なんであんたに付いていかなんと?
なんの用があると?ていうか、あっちてどこ!?」

と強気な言葉掛けをしながらも、

 

頭の中では

『あぁ、ここで死んだら

事件になって新聞に出るんだろうかぁ。

私が居なくなったら、息子はどうなるんだろう。

そもそも、なんで私なんだ?!

何年も事件絡みには縁なく過ごしてきたのにぃ、

よりによって、引退目前で・・・。

 

あれ?最近私報われた気がしてたけど、

これはなんの罰ゲーム?

なんのカルマが返ってきてんだ?

え?日頃の行い、何がいけなかったんだ?

不意打ちで殺されるほどの悪いことしたぁ?』

 

恐怖が行き過ぎて、頭の中で一人反省会という

パニックに陥る。

 

人間って、コンマ数秒でこんなに

物考えられるんですよ、走馬灯のように・・・。

 

ケーキの箱に包丁が

刺さっているのがわかった。

『こりゃ勢いつけられたら、

包丁腹まで届くかもしれん。』

とっさに思う程の刺さる感触。

 

包丁女「いいけん!向こうに来てよ!!」連発

 

包丁女と歩幅を合わせ、後ずさりし続ける

後ずさりしながら、ふと

『あれ?そういえばダイ&りなはどこ??』

 

しかしアンナは包丁女から

目を離さないと決めている!

なんにしろ、こっちに包丁女を引きつけておけば

二人に危害が及ぶことはないだろう。

この危機的状況を見れば、

もちろん警察に電話くらい

してくれるだろうし。
 

とにかく今は、

後ろへ後ろへ・・・。

 

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