バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

萬里は祈祷師【第一の人生】27の章

*登場人物*

・萬里←夜の世界から昼の世界へ羽ばたいた蝶。(まだ自分の能力の自覚なし)

・武社長←萬里スカウトに成功した美顔器・ダイヤ販売の女社長(旦那はホスト店経営)

・ダーリン←なんて呼んだこともないが、萬里の彼氏

 

 

武社長の会社、

初出勤で

初めて事務所に足を踏み入れる。

 

この事務所は

変わった形をしている。

二股に分かれた道路の真ん中、

中洲のような感じで

三角の形をしている土地に、

きれいにはめ込んだ形で三角の建物。

何に対してか

なんでかは分からないが

不安な気持ちに襲われる。

 

そんな雰囲気だけの言い訳で

拒否はできないし、

日曜以外は働きには出るという約束。

 

ちゃんと働きますよ〜♪

初日は、武社長が早めに来て

準備をしていた、

朝礼で萬里を紹介してくれるそうだ。

 

明日から、

萬里が一番に来ないといけないので

鍵もくれた。

 

萬里は事務所に入った瞬間から

違和感を感じていた。

 

なんか重たい空気と

朝なのに、晴れなのに

電気付いてんのに暗い。

 

そして、どこからか漂う

獣臭が鼻をついた、

萬里は獣のニオイを知っている。

瞬時に頭に浮かんだのは

『イノシシ』

 

なぜ、イノシシのニオイ

知ってるのかって?

萬里の父はサラリーマンなのだけど

趣味で猟をする、

仕留めた獲物を丸ごと持ち帰り

自宅で捌いたりもするので
生イノシシの臭いはよく知っている。

 

ーーこの意味のない殺生に

萬里は子供の時から

嫌悪感を抱いている。

それは家族みんな同じ。

 

この事務所、

変だなとは思いつつ。

職場だし、みんな

なんともなく過ごしてるようだし、

口に出して言うのは失礼だし、

萬里が我慢すればいいことて思った。

朝は掃除から始め、

コーヒーを煮出し
みんなが出勤するのを待つ

 

そして朝礼から、

それぞれの仕事へ散らばるのが

毎日のルーティー

 

萬里一人で掃除をしながら

いつも特に気になるところがある、

それはトイレ・・・

 

何が?て聞かれれば

何が!とは

ハッキリ伝えられない感覚

なんとなく

そのトイレは体に害を及ぼす

向きと形状を

しているような・・・気がしている

 

もちろん萬里はこの時点で

「風水」の

「ふ」の字も知らないよ。

 

ところが、それだけではなく

行くたびに気になることや、

おかしいなと思うことが

徐々に増え始める。

 

ニオイだけでなく

物音や気配とか

何かがシュッと通った

気がしたり・・・

 

真面目に通ううちに
徐々に体調がおかしくなり始めた

 

2週間ほど経った時

 

仕事帰る頃に

少し吐き気がしていた

 

変な汗が出て、

夜になっても吐き気は治らず

 

次の日の朝には、
めまいと吐き気に頭痛もプラス

体を起こすことできず

景色がグルグルと回るアセアセ

運転は無理ぽい

休みたいと思ったけど

現在事務所の鍵は

萬里しか持っていない

 

『朝だけでも行かないと

みんなが困る・・・』

ひとまず、

付き合いたてホヤホヤの

ダーリンを呼び出し
事務所まで運んでもらって

鍵だけ開けて、

社長へ電話し休むことをつたえた。

 

何をどう対処すればいいか分からんし、

吐き気はあっても

リバースすることはない。

 

頭痛とめまいで病院へいく

という考えがないから、

とりあえず

胃薬飲んで寝てよう。

 

自宅で寝ていると

数時間も経たないうちに

なんともなくなる・・・

今までにない身体の状態を

不思議に思った。

 

原因も特に思いつかないし

具合が悪くなりだしたのは

あの事務所にいる時

自宅ではなんともない

 

やはり

あの事務所には何かある・・・。

 

そういえば

三角の建物は良くないものの

吹き溜まりになると
聞いたことがあるような・・・

 

お休みして、

次の日は普通に出勤した

 

ここへ来てから

毎日毎日、

夜の街以上に体調が優れない

なんか、ダイレクトに

何かに影響を受けている気がしてならない

なんだか、獣臭にプラスで

生臭いニオイもする・・・

もうなにげに

社長に言ってみようかな

 

こういう話って

誰でも話していいもんだろうか?

普通変に思われないんだろうか?

 

「普通」がよく分からない女

萬里なのでした。

 

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