バンリの箱庭

あの世とこの世とその狭間:萬道研究会

萬里は祈祷師【第一の人生】24の章

*登場人物*

・アンナ←萬里の源氏名(もうすぐ夜の世界から足を洗う・現在危機に瀕している)

・ダイ←L.Sと二店舗目の掛け持ちマネージャー(マスターの実弟

・りな←二店舗目のレギュラースタッフ(ダイと付き合っているのは間違いない)

・包丁女←通り魔と言ってもいい

・ヤンキー男←おそらく包丁女の彼氏(きっとクズ男)

 

 

今、包丁女は虚ろな目で

どこを見ているのかわからない状態。

アンナは包丁女の動きを確認しながら

スローモーションで、

ケーキを拾い集めようとしている。

(刺激してはいけないからね↑)

 

手元は動かしつつ、

ダイ&りなの姿を探した。

 

二人はただ立ち尽くして

こっちを見ている

5メートル以上離れたところで・・・。

 

『えぇショボン

お前ら、なに固まってんだよぉー。

携帯持ってんだし、

警察に電話くらいできるだろうにぃ・・・。』

 

人は命に関わるような

窮地に立たされた時、

本当の人間が出るものなんだ・・・。

危機的状況真っ只中に居ながら

アンナは悟った気がした。

 

まぁ、それを非難する訳ではない。

『恐怖』を感じる度合いは

人それぞれ違うし、どれだけの場数を

踏んだかでも違うだろうし、

パニックになった時に自分が

どんな行動に出るかなんて

予測もできない。

 

ただ、今回は瞬時に打ちひしがれた、

『あぁショボンこの二人には何も期待できない、

自分で何とかするしかないか。』

なんというか、なんとも説明できない気持ち。

 

まぁね、優しいから

アンナを一人置いて

逃げる事もできなかったと

いうことでしょうか。

 

そんな最中に、

やっとヤンキー男が

包丁女とアンナの間に辿り着いた。

何を言い出すかヤンキー男!?

最初の一言

 

ヤンキー男「ケーキ大丈夫っすか~?」

 

「はぁ?」この言葉にソッコー

キレましたよ。

 

アンナ「大丈夫なわけなかろうもんびっくり

この状態で食える訳なかろうもん怒り
だいたいアンタこの子に何したとやぁ?!
こっちは、とばっちりやないかっ怒り

早よ連れて帰れやびっくり

 

ヤンキー男「こいつ頭おかしかけん

早よ帰ったがよかですよ~。」

 

なんやコイツ!?

と思いつつも

逃げるなら今がチャンスエクステンション

潰れてしまい

クリームの飛び出た箱を抱え立ち上がり

ダイ&りなに身振り手振りで

先に行けエクステンションと促す、

そして足早に駐車場へ向かった。

とにかく早く

危機的状況から抜け出したという

安心感が欲しくて、

早く車に乗り込みたい!

 

追いかけでもされちゃ

たまったもんじゃない!

そして「早く車出してっびっくり

 

車は動き出したが、動悸が激しい、

気持ちは少しも落ち着かない。

そのままの勢いで

アンナ「あんたら

なんで警察も呼ばんかったん?
助けようとは思わんかったと?!」

ダイ「まっすぐアンナに向かって歩いてきたし

最初は知り合いかと思ったけん、

先に行きよったけど、
様子がおかしかったけん

戻ってきたら包丁が見えて・・・。
怖くてどうしたらいいかわからんやった。
それにアンナなら大丈夫やろうと思ったし・・・。」

 

ちょっ、待てよっ!

大丈夫って何を根拠に?!

 

アンナ「な、わけなかろうもんびっくり

心臓バクバクで怖かったくさびっくり

死ぬ覚悟したわびっくり

 

若干、いやだいぶキレまくりで

二人に噛み付いた。

 

走る車の窓から外を見ていると

ふと目についた二人・・・。

よく見るとさっきのカップエクステンション

仲良く手を繋いで歩いてる・・・Docomo_kao11

恐怖の余韻が残る中、

怒りが込み上げた。

「あの時間を返せーーびっくり

このバカップルがーー怒り」と

窓開けて叫びたかった。

 

無事帰宅しても

自分の心臓のドキドキが身体中に響き

いつまでも治まらず眠れなかった。

 

夜が明けても、またバクバクしている。

実家に居る息子と両親に約束していたケーキ

きっと楽しみにしてるだろうな、

ぐちゃぐちゃだけど

とりあえず持って行こう。

 

昨晩のとんでもない

出来事も聞いてもらいたいしね。